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♥ 825

クロ僕屋

(承前)ダンジョンのような秋葉原駅を出る。電気街口……そう、ここは電気街、ここで手に入らない電子部品はないのだ。そう自分に言い聞かせる。しかし、……どこに行けばコンデンサーとやらが手に入るのだろうか。虱潰しのほかなかろう、手近なビルに飛び込む。ビルの中は異様に天井が低くまるで防空壕だ。一店の境界もわからないほど品物が詰め込まれている。USBではないコード。スイッチだけ。アルミの塊。何に使うのだろう。
それほど時間もかからずコンデンサーらしき円筒形を見つける。さすが秋葉原、すぐ見つかるじゃないか。しかし店主にメモの謎記号を見せて訊くと、このタイプはうちでは扱っていないという。どのタイプだ。ビルからビルへ彷徨う。ありとあらゆるケーブルだけが売られている店。私にまったく理解できない単語で笑う常連客。階段からのドアが封じられエレベータでしか入れないフロア。秋葉原の街は異界であった。(続く)

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