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形而上のアカネ

その日映画館は7割程度の客入りで、家族連れらしき3名と隣接した席での鑑賞となりました。開演前、女性と少女は仲良くパンフレットを読み、恐らく連れて来られた形の少年は私の隣席でスマホを操作しておりました。開演15分後、少年は隣席からこらえきれず漏れてしまった嗚咽を聞くことになりました。
 映画感想『インサイド頭』
あの幸運な少女ではなく、別の脳内はどうか?喜は忘却の谷で力尽き、代わりに偽喜が司令部に帰る。偽喜の采配は完璧で“周囲の評価”“豊かな人間関係”が構築されていく。怒、嫌、恐は発言力を失う。偽喜の正しい采配が飛ぶ。「怒よ。難しい顔をせず踊るのだ。とびきり滑稽なヤツを頼むぞ」悲は真綿の牢獄に沈められ、夜にアルコールで浮上し痺れた操作盤を弄るが意味は無い。
 嗚咽を聞き、怯えたようにこちらを振り返った少年に、良き悲しみがあらんことを。不要に思えるかもしれないけど、呪いのように祈っておくね。

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